「風の時代」の真実

2020年の12月22日。
空に輝く木星と土星が会合を果たし、「風の時代」が幕を開けました。

この200年に一度の大きな切り替わり目に世界は沸きたちました。
2020年末、「風の時代」フィーバーで世界中が盛り上がっていたことは、まだ記憶に新しいのではないでしょうか。

この半年間ほどの間に、「風の時代」という言葉を目にした人も多いはずです。
あるいは、「これからはコミュニティの時代」「情報やつながりの時代」という言葉を聞いたこともあることでしょう。

ですが、それらは本当なのでしょうか。

木星と土星の会合から時間を経て、「風の時代」フィーバーがひと段落したいま。
様々な情報が氾濫している「風の時代」の真実の姿を見つめていきましょう。

「◯の時代」とは

木星と土星の会合によって起こる「◯の時代」とは、約200年ごとのおおまかな「社会の構造や動向」をあらわします。

つまり、社会全体の構造や動向は約200年ごとに切り替わり、その大きな時代の変わり目が昨年2020年の12月22日にあった、ということです。

「地の時代」

「風の時代」を説明するために、よく引き合いに出されるのが「地の時代」です。

「地の時代」は風の時代のひとつ前、1802年に幕を開け、その40年後の1842年から本格的に突入した、ひとつの時代を表します。

「地」が象徴するものとして、典型的に挙げられるものは「物質や現実、肉体やお金」と言われます。

これらが「社会の構造や動向を形作っていた」、ということから、「地の時代」は「物質的な豊かさを追い求めた時代」だったと言われるのです。

実際に歴史を振り返ってみましょう。

「地の時代」と言われる19〜20世紀は物質的な豊かさを拡大する術が急速に発展した時代でした。

産業革命に始まった、様々な技術革新やエネルギー革命など、数多の技術革新による生産性の飛躍的な向上。

そしてそれらを基盤とした、より多くの資本の蓄積を意図した商取引の活性化などは、いずれもこの200年ほどで著しい進歩を遂げました。

国家的な動向を見ても、帝国主義と言われる、自国の利益のために植民地を増やし、領土を侵略、拡大しようとする政策が世界的に活発になったのも、この200年以内のことです。

 

このように、「お金と物質の豊かさを重視した時代」だと言われる「地の時代」とは、具体的、現実的なものを中心にした社会構造でした。

そのため、現実を右肩上がりに向上、拡大していくことを思い描いた時代だったと言えます。

目指す目的像は明確で、その過程で起こりうる成功も失敗も、具体的でわかりやすいものだったことが特徴です。

 

ではこれらを踏まえて、ここでひとつの質問をさせてください。

この「地の時代」の200年間に、
世界が「お金と物質の豊かさ」を求め続けたことを
流れに乗った生き方だった」と思いますか?

「地の時代」の功罪

この「お金と物質が重視された時代」である「地の時代」の200年を経たいまのわたしたちは、知っているはずです。

「地の時代」がもたらした、功と罪の両方の面を。

 

この200年で、わたしたちの世界はかつて想像もできないほどに豊かになりました。
科学技術は加速度的に進歩を続け、世界は生産品であふれかえるようになりました。

飽食の時代と言われるほどに、わたしたちは質と量ともに豊かな食料で満たされています。
人類が長い間抱えてきた飢餓という問題を、わたしたちはすでに克服したかのように思われます。

 

ですが、「地の時代」が生み出したものはこれだけではありません。

お金と物質的豊かさを求めるあまり、この200年で世界の社会的格差は拡大したと言われています。

 

人間性よりも所得や地位、所持品による互いの比較・評価が広まっています。
富めるものはますます豊かになり、貧しきものはより一層の貧困にあえいでいます。

目の前の豊かさのために環境は破壊され、わずか数十年後の世界すら誰も保証できずにいます。

さらには物質的な豊かさと反比例するように、メンタルヘルスの問題は社会が抱える慢性的な課題として残されており、その根本的な解決はいまもなお見いだせていません。

ではここでもう一度、さきほどの問いかけをしてみてください。

この「地の時代」の200年間に、
世界が「お金と物質の豊かさ」を求め続けたことを
流れに乗った生き方だった」と思いますか?

そして、

その功罪両面を大きくする道
あなたは選びたいと思いますか?

「風の時代」について

これらのことを踏まえて、「風の時代」について見ていきましょう。

2020年の12月22日に、世界は「風の時代」へと突入しました。

「風」が象徴するものは「知識や思想、非個人的な情報、つながりや軽やかな人間関係」と言われます。
そのため「風の時代は情報やコミュニティの時代」といった言説をよく目にすることでしょう。

ですがそこには、「風の時代」について明らかにされていないいくつかの事実があります。

 

「地の時代」がそうであったように、「風の時代」にも「風の時代」だからこその功と罪があるのです。

「『風の時代』の流れに乗るため」に、功の面ばかりが叫ばれてきたいま。
まずはその明かされていない『風の時代』の真実、いわば、

「『風の時代』の5つの病

について、順を追って見ていきましょう。

「風の時代」の5つの病

1.情報過多

多くの技術革新により、世界には膨大な情報があふれるようになりました。

「風の時代」には、その膨大な情報の終わりなき生産と拡散が繰り返されていくことになります。
欲しい物を買う前にネットで情報をリサーチしすぎて、何を買うべきかわからなくなった経験がある人もいるでしょう。

これからより一層、個人のキャパシティを遥かに超えた様々な情報にさらされ続けることになります。

そうして、多すぎる情報に飲み込まれ、溺れ、自分を見失っていく人が急増するのが「風の時代」でもあります。
情報があふれる時代だからこそ、情報を使う一部の者と、情報に使われる大勢とに分かれていくのです。

2.デマの流行

「風の時代」は、現実と地続きだった「地の時代」とは雰囲気が一変します。

「情報のための情報」が生まれ広がりやすい時代です。
根拠のないデマ盲言が大量生産され、興味本位だけで拡散しやすい時期でもあります。

現在すでに、各種問題についての様々な情報が世間を賑わせています。

それらをよく見てみると「◯◯さんが言っていたから」という都市伝説の域を出ないものが、あたかも真実かのように広がっているものも少なくありません。

「風の時代」の力で拡散される情報は、その真偽より各々の「信じたい気持ち」によって事実とされ、さらに拡散されていく流れが加速します。
そして、その膨張したデマに振り回される姿は、めずらしい光景ではなくなっていくのです。

3.過剰なネットワークと、人間関係の混乱

コミュニティとネットワークの時代と言われている「風の時代」は、様々な人とのつながりが自然と拡大しやすい時代です。

そのつながりによってもたらされる物心両面での多くの恩恵を得やすい時ではあります。
ですが同時に、増えすぎた人間関係とそこでのしがらみが、あなたを囚え阻害し、大きな痛みをもたらすことになりやすい時代でもあります。

人間関係によって生じるのはポジティブな面ばかりではありません。

軽やかなはずの「風の時代」が、そこで生じる人間関係によって絡め取られ、重く苦しいものになる危険性があることに気づく必要があります。

いつの時代も、人間の悩み事の多くは「人間関係」です。
必要以上の過剰な人間関係はその悩みを増加する危険性をはらんでいるのです。

4.実態のない雰囲気で価値観が激変

「風の時代」の「風」とは、英語では Wind ではなく Air という言葉をあてられています。

「風の時代」とは、実は「空気の時代」と言うほうが原義に近いのです。

つまり、「風」から連想する「動き、流れる」というより、「形なく、漠然と漂い広がる」というのが本来の性質です。
(「風」的な性質は、あくまでも「空気」的性質の中の一部)

そのため、この「風の時代」は、根拠のない漠然とした雰囲気が世情を支配しやすい時期です。

実態のない雰囲気によって流行や盛り上がりが生まれ、ある瞬間にその雰囲気が変わることで、世論があっという間に一変する、ということが非常に起きやすい時期でもあります。

そして変わった後になって、わたしたちはいつも「あの盛り上がりはなんだったんだ」と我に返るのです。
そう、現在のオリンピック問題のように。

5.自我の希薄さと、自己喪失

「火」が自我・自意識を、「地」が現実感覚をあらわすとすると、「風」は非個人をあらわします。

「火」や「地」と異なり、これまで前述してきた「情報やつながり、雰囲気」などの、「自分以外の外側のもの」が活性化するのが「風の時代」とも言えます。
外側にばかり意識を向け過ぎるのです。

そのため、自分が何者で、何を感じているのかをいつの間にか置き去りにしやすく、自分を見失っていく人が増加するのも「風の時代」の特徴だと言えるでしょう。

様々な情報を知り、多くの人とつながり、出所不明の噂話に耳を傾け、漠然としたその時の雰囲気でどうしたらいいかと思い悩むことを繰り返すのです。
そうして自我が希薄になり、本来の自分自身を見失っていく人が急増していくことになります。

「風の時代」ほど、精神疾患が増加しやすい時代はありません。

自我の希薄さと、自己喪失
これこそが「風の時代」が生み出す本質的な病だと言えるでしょう。

このように、「風の時代」には「風の時代」特有の傾向があります。

物質的豊かさを求めた「地の時代」は「飽食・飽物の時代」と言われました。

情報とつながりを重視する「風の時代」は「飽知、飽縁の時代」に、世界は加速度的に突入していき、この時代特有の功罪を生み出していくことになるのです。

「風の時代」の生き方

では、このような「風の時代」を、わたしたちはどのように生きていけばいいのでしょうか。

「風の時代」を生き抜くために心がけることを、以下にまとめました。

① 接する情報のコントロール

かつてないほどに情報があふれる時代だからこそ、わたしたちは自分が触れる情報を選ぶ必要があります。

日々目にしているテレビやインターネット、その他各種媒体や、あるいは直接的な人間関係。
それらからもたらされるものは、各々すべてが膨大な情報の塊です。

何気なく見て接しているだけのつもりで、あなたは様々な価値観を無意識下に刷り込まれているのです。

現代人ほど、わたしたち人間が多くのことを知っている時代はないでしょう。
ですが同時に、現代人ほど多すぎる情報に振り回され、自分を見失いやすい時代はないとも言えます。

 

本当に必要だと感じる情報以外は、手に取らないことを心がけてみましょう。

接する情報の精査とコントロールは、これからの時代に欠かせないスキルです。

あなたが生きていく上で必要な情報は、実は思っているほど多くはないはずです。

② 人間関係の整理

これからの200年、もっと短期的に数十年と言ってもいい時間で、わたしたちは人類の歴史上に残る大転換の時代を経ていくことになります。

昨年誰もが実感したように、社会が大きく変動するときは、人間もまた大きく揺れるときです。
そしてその揺れは、必然的に人間同士の関係性にも多大な影響を及ぼしていくことになります。

容易につながりが増えやすい時代だからこそ、日頃から人間関係を整理しておきましょう。

現実的な利益で選ぶのではなく、その交流でお互いが深くエンパワーされる関係性かどうかを見極めておくことが重要です。

そして、そうでない関係性だと気づいたときには、距離を取れるようにしておくこと。
身動きが取れない依存した関係は、あなたが手にしうる様々な可能性を損なうかもしれません。

その軽やかで自立し合った関係性こそが、これからのあなたを本当の意味で豊かにしてくれるものなのです。

③ 自分自身への問いから始める

様々な情報があふれる時代です。多くの人と関わることになりやすい時です。

真偽不明なままに膨大な情報と意見にさらされていく時代です。
だからこそ、「あなたがどう感じるのか」ということを忘れずにいることが、大きな分かれ目となるときでもあります。

情報を得ることそれ自体が目的なのではありません。

様々な情報と意見に接したときの「あなた自身がどうなのか」意識を向ける癖をつけておきましょう。
そうでなければ、あなたは情報の濁流に飲み込まれてしまうことになります。

「わたしは、どう思うのか」
「わたしは、どう感じるのか」
「わたしは、どうしたいのか」

その問いを重ねた者と、そうでない者とに、「風の時代」という時間はまったく異なった姿をその目の前に現していくことになるでしょう。

これらを適切に取り入れた上で、世界に目を向けていきましょう。

そのとき、あなたはようやく本当の意味で「風の時代」の恩恵を受けとることができるはずです。

「風の時代」を生き抜くために

この時代には、多くの可能性があります。

かつて人類がなしえなかった革新的なテクノロジーが生まれていきます。

囚われ硬直化した世界システムをはるかに超えた思想と理念が提示されるでしょう。
世界と人類に秘められた本当の可能性が待ち受ける、その先の世界へと、手が届きうる時代でもあるのです。

「風の時代」について、いま数多くの情報が世の中に氾濫しています。
ですが、これこそが「風の時代」を象徴する出来事です。

それら多くの情報とどう向き合い、どう感じ、そして何を選択するかが分かれ目となります。

わたしちがこの「風の時代」をどう過ごすかを問われている、ということに気づいていください。

もちろん、ここまでのこの情報も、その「風の時代」に氾濫する情報の一部です。

 

情報そのものが重要なのではありません。

あなたはいま、どう考えますか?
あなたはいま、どう感じますか?
そしていま、何を選択しますか?

自分を見失わなくていい。
自分を感じ、自分を信頼し、そしてあなたのままに、世界に解き放ち開放していこう。

思いがけないところに流れ行き着いていく、その新鮮さと大いなる必然性を味わい尽くそう。

 

流されるのではなく、流れていこう。
あなたの意志と選択で、変化するこの時代を流れていこう。

あなたがこの時代に生まれた意味を知るのは、これからなんだ。

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